HHKB Studio2日目レポート。万人向けではない

HHKB
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今回は、ぼくがHHKB Studioを2日間試してみた感想をシェアしたいと思います。

初日のファーストインプレッションはこちら

シンプルに打鍵感が良い

打鍵感がとにかく素晴らしく、タイピングが非常に快適で楽しい時間を過ごすことができました。リニアスイッチの滑らかさが特徴で、静電容量無接点方式のHHKB Professional HYBRID Type-Sと比較しても、カサカサ感が減って、より滑らかに感じます。

節度のあるリニアスイッチで誤動作しにくい

ぼくはリニアスイッチよりタクタイルスイッチが好きなのですが、このHHKB Studioの打鍵感は押し始めにやや重さがあり、誤操作の防止に役立つ程度には節度のある押下圧の設定がされていることと、スプリングノイズやケースの反響がない非常にジェントルな打鍵音が極上の体験をもたらしているように思います。
(いわゆる軽いリニアスイッチを使っているとき、ホームポジションに手を置いて考え事をしていると、気づけば「L」とか「K」を連打している…といった経験があるのですが、このスイッチではそのようなことは発生していません。)

メカニカルキーボードとしてハイクオリティ

メカニカルキーボードとして、完成度は非常に高いという所感です。

ただし、トラックポイントとマウスボタンに関しては、まだ完全には慣れていません。依然として、トラックボールマウスを使用する方がいいと思うところです。その一因として「画面の大きさとの相性」があると思います。

トラックポイント使う場合、画面は13〜16インチくらいが最適かも

ぼくはHHKB Studioを使用しているPCを、40インチのウルトラワイドモニターで使っています。
この大きなモニターとトラックポイントの相性はあまり良くないと感じました。

大きなモニターでは、細かい作業と大きな動作の両方を行えるマウスやトラックボールが優れていると思います。
マウスで細かい操作をする際には指先を使用し、大きな動作をする際には腕を動かせるためです。
トラックボールも同様に、大きな動作をしたい時にはボールを勢いよく回すことで、一気にカーソルを動かせます。
それに比べて、トラックポイントは大きな動作をする時も小さな動作をする時も同じポインタを使用するため、大きな画面での使用感ではマウスやトラックボールに劣ると思います。

ポインタ感度の加減を使いこなせるか

古いLenovoのトラックポイントと比較すると、HHKB Studioのトラックポイントはショートカットキーを使用して移動速度を変えることができるという優れた点があります。例えば、Fn2(マウスボタン中央)と数字の1〜4を同時に押すことでトラックポイントの速さを4段階で直接指定でき、またFn2とGやBのキーを使用して、使いながら微調整ができます。

カーソルの移動速度を変更する | Happy Hacking Keyboard Studio(日本語配列) ユーザーズガイド
キー操作で、ポインティングスティックを使用しているときのカーソルの移動速度を変更できます。

これらのショートカットを駆使することで、早く動かしたい時は感度を上げ、細かい操作をしたい時は感度を下げて操作が可能になります。
これを使いこなすことができれば、このデバイス自体がマウスやトラックボールに比べて完全に劣っているわけではなく、まだ工夫の余地があると感じています。
もちろんこれは直感的ではないですし、習熟が必要な点は否めませんが、そもそもHHKB配列自体がある程度習熟を必要とするデバイスであることを考えると、トラックポイントに慣れることもまた一つの挑戦なのかもしれません。

挙動が若干怪しい

気になっているのが、接続の不安定さです。
ぼくは充電池を利用しているため、省電力モードはオフに設定しています。
しかし、この設定をオフにしていても、時折PCに認識されなくなり、キーボードを再起動しなければならないことが1日に1回程度発生します。

これは、無線接続時だけでなく有線接続時にも起こるので、原因がいまいち掴めません。もし不具合であれば、ファームウェアのアップデートで解決されるといいな、と期待しています。

【追記】サポートに問い合わせたところ、「省電力モードをオフにしている場合でも一定時間で接続が切れて、任意のキーを押すことで再接続される」とのことでした。
また、ケーブルを繋いでいる場合でもPCとの接続が無線接続である場合も、同様に一旦省電力モードになり、同じ挙動になるようです。

有線給電+Bluetooth接続で、完全な常時接続ができないのは少し残念です。

スタンドを立てると滑る

スタンドの先にゴム脚がついているように見えるが、実は接地しないので滑る

次に、スタンド角度の調整機能ですが、スタンドを立てたときに設置する部分に滑り止めがついていないため、キーボードが滑りやすくなってしまう点が気になります。
スタンドを立てない状態では、四隅のゴム足がしっかり滑り止めとして機能してくれるのですが、スタンドを立てると滑り止めが手前側の2つのみとなり、摩擦力が大幅に減少してしまいます。

HHKB Professional HYBRID Type-Sでも、スタンドには滑り止めがなかった。なぜ?

これは前のHHKB Professional HYBRID Type-Sでも同じ仕様だったので、改善されると嬉しかったところです。

HHKB Professional HYBRID Type-Sの方をおすすめする

現時点でHHKB Studioをおすすめできるかと言われれば、もちろん万人向けではありません。
もしHHKBを始めて使う人が「新製品が出たから」と言って、HHKB Studioを検討されているのであれば、HHKB Professional HYBRID Type-Sの方をおすすめします。

理由は、単三電池2本で駆動する省エネ、静電容量無接点の打鍵感と信頼性、4台までのペアリング、持ち運びやすい軽さ、最低限のカスタム性能など、HHKBの真髄とも言える良さが詰まっているからです。

メカニカルキーボードとしてのビルドクオリティや打鍵感に優れているとはいえ、接続の不安定さやカスタマイズ性の不足を考えると、他にも選択肢は十分にあります。

HHKB Studioをお勧めできるのは、トラックポイントが必要な方、すなわちコンパクトな作業環境でデバイスを一つにまとめたい方です。カフェや新幹線のような、横幅が狭い場所で作業する方や、トラックボールやマウスを持ち運ばなくても済む環境を求めている方には、トラックポイント付きのHHKB Studioが便利かもしれません。頑張って慣れましょう。

HHKB StudioとHHKB Professional HYBRID Type-Sの比較

電池を入れると1キロ近い
電池を入れた状態で600g弱。軽くはないが、持ち運べる範囲
機能/特徴HHKB StudioHHKB Professional HYBRID Type-S
価格約4万円約3万7千円
キーボードの種類メカニカル静電容量無接点方式
接続方式USB Type-C, BluetoothUSB Type-C, Bluetooth
キーの配列HHKB独自の配列HHKB独自の配列
打鍵感滑らかなリニアソフトなタクタイル
ビルドクオリティ高い高い
カスタマイズ性専用ソフト専用ソフト
キーバックライトなしなし
スタンド2段階で角度調整可能2段階で角度調整可能
滑り止めスタンド使用時に不足スタンド使用時に不足
サイズややコンパクトコンパクト
重量重い(電池入り実測913g)やや軽い(電池入り実測587g)
トラックポイントありなし
電源単三電池4本単三電池2本
省電力モード設定可能設定可能
ファームウェアアップデート対応対応
HHKB Professional HYBRID Type-Sに比べて、HHKB Studioは高い、重い、電池を食う。という特性がある

ジェスチャーパッドはそこそこ精度良く、使い方次第

サイドから見ると上段が黒、下段がグレーっぽくなっているのがわかる。上段の黒い部分がジェスチャーパッドになっている

HHKB Studioの特徴の一つであるジェスチャーパッドですが、そこそこ良い精度です。

体感的には、「Macのトラックパッドほど完璧ではないが、Windowsノートのトラックパッド程度にはちゃんと反応する」みたいな感覚です。要は、操作感がしっくりくる人であればノンストレスで使えるでしょう。

ぼくはMacでの音量調整やアプリの切り替えをジェスチャーパッドに割り当ててみました。まぁまぁ便利です。

ただし、どうしてもMacのトラックパッドのように、アナログな動きを読み取るものではなく、あくまでも連続的な動き→断続的なキー入力というエミュレートが挟まっているので、やや直感と反する動作になることもあって、癖を理解して使う必要があります。

このジェスチャーパッドが無ければ困る、という画面には、残念ながらまだ遭遇していません。

アナログな動きをデジタルに変換するギャップ

たとえば、写真の色味を編集したいとき、タッチパッドでぷるぷるしながら操作するより、キーボードで直接数値を指定したり、マウスで1目盛ずつ調整する、といった操作の方がわかりやすく操作しやすい、と考える人は多いでしょう。タッチパネルでの操作はアナログな動作であるゆえに、デジタルな数値指定には向かないです。

完全に使い方次第ですね。クリエイティブ作業向けで「Studio」を名乗っていると思うのですが、正直このジェスチャーパッドで何がクリエイトできるのか、ぼくの想像力ではまだイメージできていません。すごい使い方を見出してくれるユーザーの登場に期待です。

自分で開拓していく人には、HHKB Studioはおすすめできる

いろいろできるが、「それで何をするのか」は使う人次第。自分で工夫して進んでいける人向け

HHKB Studioは万人向けのデバイスではありませんが、自分の使い方を探求し、カスタマイズを楽しむことができる方には”アリ”な選択肢です。

購入するだけで生活が劇的に変わる、というわけでは全くありませんが、工夫とカスタマイズに一定以上のリソースを注ぐことでHHKB Studioの可能性を引き出し、より快適で効率的な作業環境を手に入れることができるでしょう。


HHKBデビューする人にはHHKB Professional HYBRID Type-Sを

逆に、通常のノートパソコンのキーボードやメンブレンキーボードから乗り換えを検討している方には、HHKB Professional Hybrid Type-Sの方がおすすめです。

このモデルは、現時点でのHHKBの良さをすべて持っている、依然として最新の機種であり、長く使うことができます。またHHKBの特殊な配列に慣れることに集中できる点で、HHKB Studioよりもお勧めできます。

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