メカニカルキーボードの打鍵感は魅力的で、キーボードの素材や配列、キーキャップやスイッチ選び、ルブの塗布などさまざまな試行錯誤を行うのは楽しいものです。
しかし、やはりキーボードは道具ですから、環境に合わせた利便性の高さは重要です。
例えば、複数のデバイスとペアリングできる無線機能を備えたメカニカルキーボードは最近多く出てきていますが、一部の製品では切り替えに時間がかかったりバッテリーの持続時間が微妙だったり、接続が不安定になったりします。
とくに海外製品の無線機能は国内での技適を取得しておらず、国内のほかの製品と電波が干渉してしまうこともあります。
そのあたり、やはり国内で技適を取得して販売されている製品は安定感が1周り上のように感じています。
しかし、無線キーボードの課題はバッテリーの管理です。
毎日充電が必要になるようなキーボードは、無線で使う上でストレスがついてまわってしまいます。
今回は、無線で安定して使えて、バッテリー持ちが良いキーボードを探してみました。
道具として完成度の高い無線キーボード
複数PCで安定して使えるキーボードが欲しい
多くのメカニカルキーボードはPC1台と接続して使うことが想定されていて、有線で接続して使う分には問題なく安定して使うことができます。
しかし、複数のPCをまたいで使用する場合は有線のキーボードは取り回しが大変になります。
特に、MacBookなどのノートPCを使う場合は最近はUSB-Aポートが無いPCも増えていて、キーボードの接続にはあまり向いていない環境が一般的です。
以前にUSB切り替え機を使って複数PCを1つのキーボードで操作する方法を紹介しましたが、
一部のキーボードでは切り替えに際してキーボード側の電源が切れてしまうようなものがありました。
例えば、MelgeekのMojo68は有線接続時、PC側がスリープになるとキーボードの電源がOFFになる仕様?のようで、片方のPCのスリープを認識するとキーボードもスリープしてしまい、USB切り替え機を使っても再起動してくれませんでした。その時はキーボードのケーブルをいったん抜いて再接続する必要があります。
しかし、Bluetoothで接続するにはバッテリー管理が必要になり、頻繁にキーボードの充電をしなければなりません。
毎日使うキーボードの充電を気にして使うのは、案外ストレスになります。
そこで、無線で使えてバッテリーがもつキーボードがあると便利です。
バッテリー持ちの良い無線キーボード
有線での切り替えは、
- USB-Cポート搭載のPCには有線キーボードを接続しにくい
- キーボードによってはPCのスリープと連動してスリープしてしまう
といった問題があって、USB切り替え機と相性が悪い環境が存在します。
そうすると無線キーボードをメインにしたいですが、バッテリー管理は面倒です。
そこで、バッテリー持ちの良いキーボードを調べました。
機種 | バッテリー種類 | 持続時間 |
ロジクール K780 | 単四乾電池 2本 | 24か月 |
ロジクール K380 | 単四乾電池 2本 | 24か月 |
HHKB Professional Hybrid Type-s | 単三乾電池 2本 | 3か月 |
Realforce R3 | 単三乾電池 2本 | 3か月 |
ロジクール MX KEYS MINI | 充電式 | 10日 |
Keychron K2 Non-BackLight | 充電式 | 2か月 |
上記は公称値ですが、一般的には乾電池式キーボードがバッテリーもちに優れる傾向にあります。
こうしてみると、ロジクールの無線キーボードのバッテリー持ちは脅威的ですね。
無線でもキーマップのカスタムができるとなお良し
Keychron Q1のようなキーマップ変更ができるキーボードは有線での接続しかできないものが多いです。
Keychron曰く、QMK/VIAに対応したPCBが有線向けのものしか出ていないからだとか。
で、ぼくの環境ではキーマップを変更して使用したいので、カスタマイズ機能があるものが望ましいです。
無線でカスタマイズできるキーボードは、手持ちでは以下の3台です。
- HHKB Professional Hybrid Type-s
- Realforce R3
- Melgeek Mojo68
このうち、Mojo68についてはバッテリー持続時間が公表されておらず不明なのと、ちょっと無線の切り替えの挙動が不安定なので微妙です。この製品は有線で使うのが良いですね。
一方、HHKBとRealforceは独自のカスタムソフトウェアがあり、無線使用時でもカスタマイズしたキーマップで使用することができます。
いずれもVIAほどの自由度はありませんが、工夫すれば使えるレベルにはカスタマイズできるので快適に使用することができます。
USB-C充電の難しいところ
USB-Cで充電できるキーボードの中には、一部のケーブルやアダプタで充電できないものがあります。
例えば、IQUNIX F96はUSB PDに対応していません。
細かい規格があるのでざっくり言うと、「USB-A to Cのケーブルでないと充電できない」のです。
USB-C to USB-Cのケーブルでは充電ができないタイプの機器は、実は安価なデバイスや古めのデバイスを中心によく見られます。ほかに同様の仕様をもつものとしては、たとえば中国メーカーの小型掃除機がありますね。
こういったアイテムは、USB-Cで揃えた環境では逆に使いにくくなってしまうため注意が必要です。
一方、IQUNIX F97やMojo68、Shurikey HANZOなんかはUSB PDでも充電することができました。
USB充電式のキーボードを購入する時には、USB-PDで充電ができるか確認しておくと、長く使えるキーボードを選ぶことができるようになります。
意外とストレスが少ない乾電池式
HHKBやRealforceのように乾電池で動くキーボードであれば、エネループを充電してストックしておけばバッテリー切れになってもバッテリー交換のわずかな時間で再度フル充電にすることができるので、日頃のストレスは逆に少なかったりします。
ロジクールはバッテリーが持つので使い捨て電池がおすすめ
ロジクールのK380とK780は単四電池で、こちらもエネループでも良いのですが、ロジクールはそもそも2年くらい持つので、使い捨てタイプの電池の方がストレスがないかもしれません。
Amazonベーシックの20本入りを買えば、K380を20年使えます。
無線キーボードのデメリット
最近の無線キーボードはよくできていて、入力の遅延や混線などで困ることはほとんどありません。
ただし、環境があまりにも悪いと無線キーボードを選択しない方が快適になる場合があります。
たとえば、家族が電子レンジを使用すると入力が乱れたり、
海外製のワイヤレスマウスなんかもたまに競合というか混線するものがあります。
あとニッチな問題で言うと、無線の電波がマイクに影響する場合があるので、オンライン会議で使うマイクなんかがキーボードの真横にあると、無線電波のノイズがマイクに乗ってしまう場合があります。
この場合は、キーボードをマイクから遠ざけて使うようにしましょう。
ちなみに、打鍵音を録る時にも結構ノイズ問題は悩みのタネだったりします。
迷ったら戻ってくるキーボードを決めておくこと
キーボードをいろいろ試していると、自分にとって何が最適なのかわからなくなったり、どのキーボードも使いこなせない自分に嫌気が差してくることもあります。
他には、素晴らしい打鍵感のメカニカルキーボードを持っていても、飽きてしまったり気分が乗らないときもあります。
そんなときに、安定して使えるキーボードを持っておいてそこに戻ってくると、心の平穏が得られます。
ぼくの場合は、以下の3つのうちどれかに戻ってきます。
いずれも乾電池式で充電ストレスもなく、無線で安定して複数のデバイスで使えて、そこそこ打鍵感も良い名機だと思います。
いろいろ試して迷子になる前に、一番安価なK380だけでも触っておくと安心ですよ。
同じ静電容量方式のRealforceとHHKBでも、使い心地は全く違うので気分で使い分けています。楽しいです。
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