デスクの主役というのは、もちろんデスクそのものや前回の記事で触れた椅子、このブログでも大量に取り上げてきたキーボードも去ることながら、やはりデスクの「顔」となるのはモニターでしょう。
これまで試してきたモニターたち
これまでのぼくのモニター遍歴は以下。
- 22インチFHDモニター1枚でテレワークを開始する
- 27インチ4Kモニターを導入。調子に乗って2枚まで増備(約5万円×2枚)
- 2枚のモニターの配線の煩雑さ、左右の視線移動の多さ、デュアルモニターアームの取り回しの悪さが気になり、43インチテレビをモニターとして使い始める(約10万円)
- 43インチテレビは光沢があってPC作業にはやはり不向きだということで、27インチ4Kモニター1枚の環境に戻す(約10万円)
はい。とても血迷っていますね。
モニターだけで30万円使っています。ちょっとやりすぎです。
一度は「27インチ1枚で良いのだ」というシンプル思考に至ったわけなのですが、その原因として同時期にミニマリストに関する本を複数冊読んだり、マコなり社長が27インチ4Kの1枚でいいんだよと力説していたことなどに影響を受けたものです。
書評ブログもやってます⇩
ぼくもしばらくは27インチモニター1枚でやってきましたが、
ついに今回LGのウルトラワイドモニター、40WP95C-Wを購入してしまいました。
今回はこれを導入した理由について語ってみます。
脳からアウトプット仕事ならモニターは小さくてもOK
ぼくは1年ほど、27インチ4Kモニター1枚で仕事をしてきました。
きっかけは、マコなり社長の動画で「27インチ1画面がちょうどいい」という主張を見て影響され、試したくなったからです。
実際に1年試してみてわかったことは、「その人がインプットからアウトプットまでをどのようにこなすか」によって、モニターの最適解は異なる、ということです。
たとえばマコなり社長のような立場で、「考えてアウトプットするのが仕事」 という人は、
インプット→脳→考え出された価値のある色々なアイデア→会社への指示
という流れを経ていると思います。
一般サラリーマンのアウトプット
しかし、一般サラリーマンの仕事内容を見てみると、必ずしもそうではありません。
インプット→脳 のような考えを必要とせず、
- とあるExcelファイル→別のExcelファイルへ転記
- とあるテキストデータ→ブラウザの指定フィールドへ入力
- 競合の価格を調査→ファイルにまとめる
みたいな。
そんな作業が多いわけです。
文章を書くというよりは、なんかデータをコピペするとか、調べてデータをまとめる等の作業もありますよね。
いちいち脳を経由しないアウトプット
そこで注目するのは、「インプットした後、情報をどうするか」です。
資料づくりのために毎回いちいち、競合他社の価格を
見る → 覚える → ファイルに入力する
なんてこと、やってられません。
入力していく過程で結果的に覚えることはあっても、
入力する前にデータを覚えることは無いでしょう。
つまり、見たものをそのままアウトプットへ繋げる作業においては、画面の広さ=見えている情報量 が多い方が良いということです。
デカいモニターのデメリット
デカいモニターは気が散る
必要以上に多くの情報を表示できる大画面や、複数モニターの環境は
今集中すべき作業の他にもたくさんの情報を表示できてしまうことにより
集中力を削いでしまう(気が散る)という問題があります。
もちろん価格が高いとか、PCスペックによっては4Kまでの表示が限界だとか、マウスポインタを見失いがちだとか、ウィンドウが散らかるので「デスクトップ上での探し物」に時間がかかるといったデメリットもあります。
「広い画面は気が散る」への反論
マコなり社長の動画で言われていた、複数モニターへの反論としては、
「横の画面にタスクリストを出しておいて、タスクを眺めてもタスクは終わらない」
「今目の前のタスクを終わらせることでしか、タスクは終わらない」
このような内容がありました。
はい、おっしゃるとおりです。
ですが、これも一般サラリーマンにとっては
もしかすると、話が変わってくるかもしれないのです。
常に連絡を受けることを想定した働き方
ぼくの場合、広々になった画面の一部には、OutlookやTeamsのような連絡アプリが常駐しています。
たとえば「リアルタイムで障害報・SOSがメールで来るかもしれない」といった、常に現場からのアラートをキャッチしないといけない情シスのような立場の人にとっては、連絡アプリを常時表示しておけることはメリットでしょう。
もし27インチ1画面で、
OutlookやTeamsのような連絡ツールをバックグラウンドに置いたまま
作業に没頭していた場合、大事な連絡を取りこぼしてしまうかもしれません。
さらに、作業の合間に「メール来てないかな」「大丈夫かな」といった心配が頭をよぎるのも、生産性の低下につながります。
このように、常に連絡を受ける必要がある仕事ならば、
連絡ツールを常時表示しておけることが大切になってきます。
資料作りで「インプットせずアウトプット」
一般サラリーマンがよくやっている作業のひとつが「資料作り」でしょう。
もし、資料の内容のすべてを熱く語れるようなその分野のスペシャリストであれば、自分の語りや考え、言いたいことを資料に表現すれば良いわけです。
しかし、一般サラリーマンの作る資料の場合、必ずしもそういう題材を扱うわけではありません。
上層部に「やってる感」出すだけのヨクワカラン資料だったり
新規プロジェクトがいかに会社に利益をもたらすかを大仰に描いた資料だったり。
そんないわゆる「しょーもない資料」とか「自分の専門外の資料」あるいは
「絶対に間違えられない資料」を作る場合は、
「元データとなる資料を見ながら、自分の資料を作る」ということになります。
ということは、「インプットして→覚えて→理解して→アウトプットする」みたいな脳の使い方ではなく、「必要な情報を表示して→資料にまとめていく」という順番ですよね。
個人的にはこれを、「インプットせずアウトプット」という感覚で捉えています。
広大なモニターがあれば、このような作業が非常に効率的になります。
デカいモニターをうまく使うコツ
デカいモニターや、複数枚のモニターを使うときに、気をつけないといけないのが
「どのモニターに何を置くか決めていない」ことです。
たとえば、ブラウザで調べ物をしながら、ファイルに入力していくとしたら
参照するブラウザを右に置いたり左に置いたり、安定しないことがあります。
最初は安定していても、ブラウザを左、Excelを右に置いて、その後左でメールを開いて、次にブラウザを右で開いてしまい、結局ブラウザが右にも左にもあったり、あっち行ったりこっち行ったり。
最終的に「ブラウザは今どこにあるんだ!!!???!?」というストレスを感じることになります。
デカいモニタより、27インチ1枚とかのほうが快適に感じることがあるのは、この「どこいった!?」となるストレスが少ないからです。
ウィンドウ整理をマスターする必要はある
デカいモニターを導入する際の必須スキルが「ウィンドウ整理」です。
ぼくはMacではMagnet、WindowsではPowerToysのFancyZonesを使っています。
27インチ4Kは左右の2分割、40インチ5Kであれば縦に三等分するのが快適です。
広い部屋を借りても、ただ散らかすだけでは家賃が勿体ないのと一緒で、広いスペースはきちんと役割を持たせて使い分けるのがポイントです。
ウィンドウの分割ルールを決める
左右二等分にウィンドウを分けるのであれば、自分にとって利き腕側を「入力するファイル」にし、反対側を「参照する画面」にすると捗る気がします。
三等分する場合は、「真ん中に入力するファイル」「左側に”見る”ファイル」「右側は”コピペ元」になるファイル」のようにしています。
少し贅沢ですが、ぼくは左側の27インチ4Kに連絡ツール2種(Outlook, Teams)、右側の40インチウルトラワイドには作業中のファイルを、上記のルールに則って並べています。
誰かにとっての最適は自分にとっての最適とは限らない
22インチ 1枚 → 27インチ 2枚 → 43インチ 1枚 → 27インチ 1枚
と、ディスプレイの増減を繰り返してきたぼくですが、ここまで彷徨ってわかったことは以下。
- 誰かにとっての最適は、自分にとって最適とは限らない
- 今の最適構成が、将来ずっと最適構成とは限らない
- その日の作業内容によって最適な構成は変化する
- その日の体調によって最適な構成が変化することもある
はい。「最高のデスクには”流動性”という要素も含まれる」とも言え、
「現時点での最適構成で固定すると後悔する」とも言えます。
PC作業の初心者にはオススメしない
たとえば、はじめてPCで仕事を始める人が、環境を整えたいからと言って
いきなりウルトラワイドモニターや、複数画面の構成を用意するのはオススメしません。
広いスペースの管理は疲れる
はっきり言って、大きな画面・多画面構成は疲れます。
ネット上には、「ウルトラワイドモニターは生産性が上がる」という言説が一般的ですが、
下記のような状態になると、広い画面が逆にストレスになることがあります。
- どこに何があるか分からない
→上述の「分割ルールを決める」のが大事です - どこに何があるか分からないが、探し方がわからない
→例えばSpotlightやWindowsメニューからの検索、Alt+Tabのような切り替え機能を使いこなせていないと、デスクトップ上で目当てのウィンドウを探すのに一日の半分を消費することになります - 要素が全部「遠い」
たとえば手元のiPhoneの大きさが、横1メートルあったら使いやすいでしょうか。
アプリを開くだけでも、右手でタップするか。左手を伸ばすか。
広大なオンスクリーンキーボードは、さながらゲームセンターのドラムゲームのように、両腕を振り回しながら使うことになるでしょう。
PCではそこまで大げさではないにしろ、やはり画面上の要素がそれぞれ遠くなるので、マウスの移動とか視線の移動は大変になります。
単一ディスプレイで必要なスキルを磨く
で、上記のような「広いスペースは初心者にオススメしない」を解決するためのステップとして、以下をオススメしておきます。
- 単一ディスプレイでシングルタスクに向き合うことに慣れよう
- Alt+Tab(Command+Tab)のようなウィンドウ切り替えや、Win+数字でタスクバーのアプリを起動するなど、様々な小技を覚えて工夫しながら作業を行う練習をしよう
まず半年〜1年くらいを目処にシングルディスプレイをしっかりと使い込み、
工夫してスキルを磨き、その上で画面の大きさを広げるのがオススメです。
成長した今、買ってよかったウルトラワイド
ということで、数々のディスプレイ編成を試してみて、今ウルトラワイドデビューをしてみたわけですが、結論としては買ってよかったです。
ぼく自身、1年ほど単一のディスプレイを使い込み、1枚のディスプレイでどこまでやれるか?を追求してきました。
そこで単一ディスプレイで培ったシングルタスクの考え方や、ウィンドウ整理の小技、大画面の良し悪しの部分などを総合的に理解してから、いまウルトラワイドを買ってよかったと思っています。
以前のぼくであれば、大きな画面を使いこなせないのを棚に上げて「ウルトラワイドは疲れる」などといった結論を出していたかもしれません。
単一ディスプレイの良さと、ウルトラワイドモニターの良さを両方把握してうまく使い分けたり、しっくりこないときには環境に変化を持たせて見るなど、柔軟性と流動性をもって運用していくのが良さそうです。
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