キーキャップはABSとPBTどっちがいい?

キーボード
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メカニカルキーボードに興味を持ったきっかけとして、「キーキャップを自由に好感して自分好みのキーボードを作りたい」という思いがある方は多いと思います。

実際メカニカルキーボードには、対応する多くのキーキャップが出回っていて、さらにその多くは互換性のある形状をしています。

メカニカルキーボードの特徴のひとつは、キーキャップを交換してデザインを手軽に替えることができることである、とも言えますね。

キーキャップを探していると、「ABSキーキャップ」と「PBTキーキャップ」といった材質の表記があることに気づきます。
他にはPOMやPC、金属やセラミックなど様々なキーキャップが製造されていますが、大多数のキーキャップはABSかPBTです。

今回は、どっちを選べば良いのか?を簡単に紹介していきます。

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キーキャップ素材の選び方

PBTだと「アタリ率」が上がる

乱暴に言えば、PBTの方が「強くて、良い素材」です。

PBTは「ポリブチレンテレフタレート」の略で、ポリエステルの一種です。

この素材でできたキーキャップは、摩耗と熱に強いことが特徴です。

熱に強い素材のメリット

「熱に強い」と言っても、キーボードを熱するわけではありません。
もちろん、その特性は加工時に活きてきます。

キーボードには、入力できる文字が印字されていますよね。
キーキャップの印字方法のうち「昇華印刷」、英語では「Dye-Sub」と呼ばれる手法があります。

この手法では少なくとも190℃前後での加熱が必要で、
PBTであれば融点が223℃と高いため、昇華印刷が利用できます。

ABS樹脂は昇華印刷できない

ABS樹脂はその構造上「融点」ではなく「軟化点」という言葉が使われます。
こちらは熱には弱く、75℃で軟化してしまうため、昇華印刷は使えません。

昇華印刷のメリット・デメリット

昇華印刷ができることは、熱に強いPBTキーキャップのメリットになります。

では、昇華印刷自体のメリットは何があるのでしょうか。

それは、一言で言えば「印字が消えない」ということです。

会社などで長期間使われたキーボードの印字がカスレている、といったシーンはイメージできる方もいらっしゃると思います。それを防げるということですね。

印字の色に制限もある

一方で昇華印刷にはデメリットもあります。
それは「印字の色に制限がある」という点です。

たとえば、

メーカーが真っ白なキーキャップを作りました。
雰囲気を損ねないように薄いグレーやブラウンなどで印字をしたい。

とします。

しかし、昇華印刷では「薄い色」は出せず、比較的濃い目の色に限定されます。

HHKBの「雪」モデルは、
本体の白さとは対照的な黒々とした印字がされています。
これはデザイン・雰囲気よりも「印字が消えない昇華印刷」を優先したためです。

たとえば、ふもっふのおみせで利用できるVarmiloのオーダーメイドでも、
印字の色はキーキャップの色に依存します。

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PBTキーキャップ、その他のメリット

PBTキーキャップは、印字が消えない「昇華印刷」が使える以外にも
打鍵する上での特徴があります。

  1. 硬質な素材なので、打鍵音もやや硬質になる
  2. 表面がサラサラに加工されているものは、長期間使ってもテカリが出ない

基本的には、しっかりと加工されたPBTキーキャップは「触ったときの上質感」があります。

高級キーボードとして名高いHHKBもREALFORCEも、PBTキーキャップを採用しています。
加工もしっかりしているので、長期間使ってもテカりません。
もちろん昇華印刷なので、印字も消えません。

これが、PBTキーキャップのメリットです。

PBTキーキャップのデメリット

PBTキーキャップのデメリットをまとめると以下です。

  1. ABSキーキャップに比べて、価格がやや高い傾向がある
  2. 格安のPBTキーキャップは素材がベラベラだったり、表面処理が雑で「上質感」がないものもある
  3. 昇華印刷はあくまで「印刷」なので、文字部分をバックライトが透過しない

特に格安キーキャップについて、Amazonなどで売られている3000円くらいのPBTキーキャップセットには要注意です。
(全てが悪いものであるとは限りませんが、REALFORCEほどのクオリティは望めないかも)

また、RGBに光るゲーミングキーボードのキーキャップを交換する場合は、
光を透過しないため地味な見た目になってしまうことも考えられます。

PBTキーキャップでそこそこの価格のものを選べば、アタリ率は高い

PBTは熱に強く硬質であるため、その特性を活かしたキーキャップを作ることができます。

基本的には、迷ったらPBTを選択する方がハズレは少ないと言えます。

ただし加工に手間がかかるので、必然的に価格は高くなります。

あまりにも安いキーキャップは品質が低いことがあるので注意しましょう。

REALFORCEなどの純正キーキャップは1セット1万円前後します。
高いですが、質感はしっかりしています。

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ABSキーキャップ

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ABSキーキャップの特性は以下の通り。

  1. 加工が容易で、安価に製造できる場合が多い
  2. 薄く作れるので、キーボード自体が軽くなる
  3. 比較的軟質で薄い商品が多いので、打鍵音はカチャカチャとした高音になりがち
  4. それに伴って、質感も安っぽくなりがちで長期間使うとテカるものが多い
  5. ダブルショットと呼ばれる成形方法がよく使われており、文字部分がバックライトを透過する構造にできる
  6. 本気を出してクオリティを追求したABSキーキャップは、ちゃんと上質感もある

ABS樹脂は、ぼくたちが普段使っているノートパソコンのキーボードにも使われています。

たとえばMacBook Airのキーボードも、塗装されたABS樹脂です。

長期間、仕事で使われているMacのキーボードって結構テカってきてますよね。
これは使用者が悪いのではなく、塗装されたキーキャップの特性によるものです。

ABSのメリット

MELGEEK MOJO84 WIRELESS MECHANICAL KEYBOARD

ABSキーキャップにもメリットがあります。

安価

なんといっても、安価に製造できることです。

PC用のキーボードって、安いものだと1500円前後くらいからありますよね。

安価なキーボードは、ほぼすべてABS樹脂でできています。
本体もキーキャップも全部ABS樹脂でできている製品は少なくありません。

それだけ広く使われている素材ということですね。

MelGeek Mojo84 レビュー

加工が容易

ABS樹脂は75℃で柔らかくなるほど熱に弱いので、
裏を返せば、柔らかくして成形するのが容易になります。

それを活かして、
「二色成形」、英語では「Double-Shot」と呼ばれる加工ができます。

二色成形とは、
その名の通り「二色の樹脂を組み合わせて文字などを表現する」ことです。

構造としては、金太郎飴をイメージしていただくと良いです。
切っても切っても同じ柄が出てくる飴のように、ABS樹脂が文字の形に組み合わさっています。

これによって「絶対に消えない印字」ができあがります。

切っても切っても金太郎ならぬ、
削っても削っても文字。 というわけです。

この「二色成形が比較的安価にできる」ことがABS樹脂のメリットになります。
PBTでも二色成形の製品はありますが、価格がだいぶ上がります。

二色成形のメリット

それでは、ABS樹脂を使って二色成形をするメリットは何があるでしょうか。

大きなメリットは以下です。

  1. 印刷ではないので、印字が消えない
  2. 文字を半透明なABS樹脂で作ることで、バックライトを透過させることができる
  3. 二色のABS樹脂で厚みを増し、コトコトと上質な打鍵感を目指せる

特に、ゲーミングキーボードで印字が光って欲しい場合は、ABS樹脂のキーキャップでバックライトを透過させるのが良いでしょう。

ABSのデメリット

ABS樹脂のキーキャップにはデメリットがあります。

  1. 薄く軽い製品が多く、打鍵音が安っぽくなる
  2. 長期間使うとテカリがでる

ひとことでまとめると、「安い代わりに、安っぽい」と言えます。

あくまで傾向ですから、これに反して高級なものもあります。

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超高級なABSキーキャップもあるよ

先日Dropで購入した「Keycap Mystery Box」に入っていた、
「GMK Mito」のキーキャップはABS製でした。

このキーキャップ、ABS製なのに140ドルもするんです。

普段ならなかなか買わないですが、今回は99ドルの箱に入っていたので儲けもんでした。

このキーキャップに関しては、
初見でABS樹脂だとわからなかったほど「上質感」があります。

  • 表面のサラサラした加工
  • 二色成形の重厚感

さすがに密度はABS樹脂なので打鍵音は高音よりになりますが、
質感は非常に高いキーキャップです。

結局、ABSかPBTどっちがいいの

迷ったらPBTのキーキャップを購入するように意識すると良いと思います。

ただしABSが絶対にダメという訳ではなく、
バックライトの透過が綺麗に見えたり、安価にカッコいいデザインのものが作れるなどのメリットもありますので、
特性を知った上で、どちらも楽しむことは可能です。

ABSでも高級なものは本当に質感がよいので、興味がある方はチャレンジしてみてください。

かわいいキーキャップを買えるお店

凝ったデザインのキーキャップが欲しい場合は
Amazonなどで探しても良いのですが、品質にどうしても不安が残ります。

その点ふもっふのおみせなどの専門店では、
キーボードに詳しいバイヤーが揃えたこだわりの品が揃っているので品質は間違いありません

本当にかっこいい・かわいいキーキャップが販売されています。
ぜひチェックしてみてください。

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