メカニカルキーボード界隈で有名なキースイッチの一つに、
Holy Pandaと呼ばれるスイッチがあります。
このスイッチは、2つのスイッチのパーツを組み合わせて作られたもので
ステムはHalo ClearまたはHalo True、ハウジングはInvyr Pandaのものになっていて
それぞれの長所を組み合わせたスイッチです。
キメラスイッチなどとも呼ばれるような、複数のキースイッチの部品を組み合わせて作られたスイッチになっていて、それぞれの部品の特性を併せ持つスイッチが作られる文化があったわけですね。
その中で生まれたのはHoly Pandaというわけです。
このスイッチはとてもはっきりとしたタクタイル間が早めにやってくることと、重めのフィードバックが特徴で、世界中に多くのファンがいるほどのスイッチです。
現在はDROPにて販売されており、1個あたり100円を超えるキースイッチとして、自作キーボードを作る人などが採用することの多いスイッチです。
一方で、2つのスイッチを組み合わせたデメリットとして
潤滑剤の塗布などの改造・メンテナンスが必要になる面もありました。
さまざまなケアをしてあげることによって、最高のコンディションに整えていく必要のあるスイッチでした。
特に、オリジナルのHoly Pandaをレシピ通りに作るとスプリングのノイズが大きく、ルブを塗布することはもはや必須といっていいレベル。手間ですが唯一無二の打鍵感には代えられない・・・
しかし今回、そんなHoly Pandaの特性をしっかりと受け継いだ新しいスイッチ
Holy Panda XがDROPにて発売されました。
さっそく購入してみましたので、レビューしていきます。
Holy Panda X レビュー
Holy Pandaはもともと寄せ集めのスイッチ
もともとHoly Pandaは、2種類のスイッチのパーツを組み合わせたもので、
長所を寄せ集めることもできた一方で、パーツ同士は別々に製造されたものですから
多少の改造やメンテナンスを行うことで真価を発揮するスイッチでした。
複数の部品を寄せ集め、きちんと手入れをすることで、理想のタクタイルスイッチの一つであるとされるほど
素晴らしい打鍵感をもつスイッチを作り上げたわけです。
特性を残して1つのメーカーが整えた
Holy PandaXは、そんなHoly Pandaスイッチの特性や打鍵感を保持しつつ
デメリットであったガタつきやノイズの面を改善するために、アメリカの販売店であるDropと
キースイッチメーカーであるGateronが協業し、一貫して製造したものです。
これによって、メンテナンスフリーで素晴らしい打鍵感を享受できるスイッチが生まれました。
Gateronといえば、安価で入手しやすいスイッチを多く製造しているイメージがありますが、一方でGateron Ink Blackなどの傑作スイッチも製造しているメーカーです。
ぼくの大好きなKeychron社もGateronスイッチを採用していますね。信頼できるメーカーです。
アーリータクタイルという特性
Holy Pandaは、タクタイルスイッチの中でも
アーリータクタイル と呼ばれるタイプのタクタイル軸になります。
Holy PandaXでは、スイッチの押し始めから0.5mmほどで
タクタイルのピークがくるようになっています。
一方で、通常のタクタイル軸であるCherry MXの茶軸ではタクタイルのピークが少し奥にあります。
おおよそ、押し込み始めから1.2mm程度でタクタイルのピークがやってきます。
このように、ひとくちにタクタイルといってもスイッチごとに異なる特性、打鍵感をもちます。
アーリータクタイルスイッチは、スイッチを押し始める時にカクッと抵抗がくる訳なので、
押したタイミングが分かりやすく、サクサクとした感触を得ることができます。
例えるならスマートフォンの電源ボタンなんかは、押したときにカチッとした感触がありますが、それに近いリアルタイムのフィードバックを得ることができ、気持ちよく打鍵をすることができます。
重めのタクタイル感も相まって、非常に気持ち良く打鍵できるのが、Holy PandaXの特徴です。
滑らかでノイズが少なく使いやすい
Holy PandaXは、初代Holy Pandaと異なり、最新の部品設計によってルブなしでも滑らかに動作します。
最近のスイッチはスプリングの改善によってスプリングのノイズがかなり減少していますし、
ハウジングも専用設計なので安定した打鍵感と打鍵音を実現しています。
実際に使ってみても、非常に滑らかで気持ちの良いタクタイル感を得ることができます。
ぼくは初め、スプリングの伸び切る音の「チッ」という音が少し気になったのでルブしたのですが、あまり変わりませんでした。どうやらスプリング自体の音ではなくて、スプリングが伸び切った時に内部で何かが当たる音のようでした。
黒いハウジングはバックライトを遮る
Holy PandaXは、黒いハウジングを採用しているため
バックライトの透過がかなり少なくなります。
開口部はありますので、多少は光が通過できますが
鮮やかで明るいバックライトを楽しみたい人にとっては少し物足りない見た目になるかもしれません。
装着したのはMelGeek Mojo68です。
個人的には、ここがちょっと微妙でした。
バックライトは別になくても良いのですが、綺麗に見えた方がテンションはあがりますからね。
できれば半透明のハウジングにしてもらうか、LEDを拡散するパーツをつけてくれたらよかったですが、コストが上がると本末転倒なのでこれでいいです。次回作に期待です。
初代Holy Pandaの良いところは引き継いでいる
基本的な性能や特性はオリジナルのHoly Pandaを受け継いでいるので、
以前のHoly Pandaが気になっていた人はぜひ試してみると良いです。
とくに、以下のような方にオススメです。
- 重めのスイッチが好きな人(軽めのスイッチが好きな人は、疲れるかもしれません)
- タクタイル感が強めのスイッチが好きな人
- タイピング音が多少大きめでも問題ない人
- RGBバックライトが必要ない人
特に気持ち良い打鍵音にこだわりたい人にはおすすめです。
マイクと音声処理にかなりこだわって録音した打鍵音を動画で紹介していますので、ぜひご覧ください。
価格もオリジナル版より安い
- Holy Panda : 70個入り 85ドル
- Hole Panda X : 35個入り 29ドル(期間限定。終了後は35ドル)
Holy Pandaは、それなりに入手難易度の高いスイッチ二つの合成スイッチだったので
価格がスイッチ1個あたり1.2ドル以上することもあるほど高額なスイッチでした。
今回は比較的リーズナブルなスイッチを多く作っているGateronブランドということもあり
1個当たり1ドル弱で購入することができます。
通常のGateronより高級なスイッチではありますが、比較的購入しやすくなっています。
メカニカルスイッチは一度購入すると並大抵の期間では壊れないですし、Hot-Swapに対応したキーボードであればスイッチが壊れてもすぐに交換することができるので、多少予備を持っておけばずーっと使えます。
まとめ
Holy Panda Xは、複数のスイッチを組み合わせて作られてきたHoly PandaをGateronが作り直したことで、
メンテナンス不要で同じ感触を得られることを目指しつつオリジナルより少し安価に購入できる、素晴らしいスイッチになっています。
実際に使った感触は、かなり好感触です。
重めのタクタイルスイッチが好きな人に、ぜひ使ってみてほしいです。
Drop初回登録で10ドル引きになる招待リンクを置いておきますので、
ぜひ検討してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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