長らく愛用していたMX ERGOというトラックボール。
ロジクールの名品なのですが、充電端子がMicroUSBだったり、ドングルの企画が前世代のUnifyingだったりなど、設計自体が若干古びている機器でした。
2年前の記事を見たら、その時すでに「いまどきMicro USBかよ」って言ってました。
さて、このたびMX ERGOの後継機種「MX ERGO S」が出ました。
USB-C充電になり、Logi Boltでの接続に対応した新型は、間違いなく僕が求めていたものです。
ですが、相変わらずお値段もしっかりハイスペックです。
前世代のMX ERGOがまだ現役で使えている中で、買い換える必要があるのか?
と、冷静に考える前に予約して購入しました。あとで言い訳します。
というわけで今回は、MX ERGOユーザーが「MX ERGO s」を買ってみたレビューをお届けします。
MX ERGOとMX ERGO Sの違い
MX ERGOとMX ERGO Sの主な違いは以下。
旧 MX ERGO | 新 MX ERGO S | |
クリックボタン | カチカチ音 | 静音 |
充電端子 | Micro USB | USB-C |
USB無線ドングル | Unifying | LogiBolt(同梱) |
スペック表では分からない違い
実際に使ってみて、スペック表以外に感じた違いは以下。
旧 MX ERGO | 新 MX ERGO S | |
プレシジョンモード | 押すとカーソルが「最遅」になる | 押した時のカーソル速度を設定可能 |
接続復帰/LogiOption接続 | 数秒待たされるときがある | 速い |
プレシジョンモードの違い
MX ERGOには、以前からプレシジョンモードが搭載されています。
この機能は、「トラックボールは細かい操作に向かない」という弱点をカバーできる機能で、ボタンを押すことで「カーソルがすごくゆっくり動くようになり、精密に動かすことができる」というものです。
例えば画面上のツマミを1ピクセルだけドラッグしたり、Excelのセルの高さを1ピクセル縮めたり、という細かい操作ができるモードです。
旧MX ERGOのプレシジョンモードは単に「精密モード」となっていて、精密モード中のカーソル速度は変更できません。
一方で、新しいMX ERGO Sの設定において、精密モードにあたるボタンは「ポインタ速度を変更」という機能になっており、ONのときとOFFのとき、それぞれのポインタ速度を設定することができます。
これによって、「カーソルを精密に操作したいけど、いくらなんでも遅すぎる」という場合に微調整を加えることができます。
接続復帰・ソフトへの認識が速くなった
僕はMX ERGOをMacOSで使っているのですが、スクロールの方向をOS側で”ナチュラル”にした上で、Logi Optionsで”標準”にしています。
もう少しわかりやすく言うと、「OSの設定と、Logi Optionsの設定が逆」なのです。
で、数分にわたってキーボード操作をしていたり、動画を見るなど、トラックボールを操作しない時間があると、どうやらスリープ的な扱いになり、MX ERGOがLogi Optionsに認識されなくなるようなのです。すぐ復帰しますけど、復帰までのラグがあります。
そこで困るのが、「Logi OptionsがMX ERGOを認識するまでの数秒の間、Logi Optionsのスクロール設定が有効にならず、OS側の設定が有効になる」ということです。
これまで困っていたのは、以下のようなシーンです。
- しばらく操作していないと、MX ERGOがスリープする
- ページを下にスクロールしたいので、ホイールを下に回す
- ページが上にすっ飛んでいく(MacOS側の設定が反映)
- しばらくすると、下に回せばページが下にいく設定(Logi Options)が反映
旧機種では、上記のようなことが毎日のようにありました。
MacOS側の設定を変えたらよいのでは?と思われるかもしれませんが、そうすると今度はMac標準のトラックパッドの動作が気持ち悪くなっちゃうんですよね。
という、地味なストレスに数年耐えてきたわけです。
新しいMX ERGO Sでは、このようなことは体験していません。
しばらく放置していても、スッとホイール操作を意図した方向に行えます。
製品自体が大幅に新しくなったことで、処理が洗練されたことによる恩恵だと思います。
BluetoothやLogi Boltでの接続が安定している面もあるかもしれません。
(Bluetoothの規格は公表されていないようです。)
購買は投票行動
このMX ERGO sは有名メーカーのデバイスであるため、すでに多くの情報が出回っています。
メーカーや多くのレビュワーが言っている部分については割愛し、実際に自分が使って気がついた部分を紹介しました。
僕としては「買ってよかった」と思っています。
が、同時に「買わなくても別にやっていけた」ということも事実です。
例えばクリックが静音になっている点は、静かなオフィスやコワーキングスペースで使う分にはとても便利でしょう。でも出先で使うならMacのトラックパッドでいいんです。
では、「お前は2万円近いトラックボールを、要りもしないのに買ったのか」と言われれば、半分は正解です。
しかし僕はWeb上に文章を放流している人間で、MX ERGOの愛用者です。
「Micro USBからUSB-Cにすべきだ」という旨の投稿を、Twitter含めると何度も行ってきました。
一方、メーカーの担当者は、「正直売れるかわからんけど、USB-Cを望む声は一定数あるみたいだから、商品化しよう」と思って企画して、動いてくれたのだと思うのです。きっと。
トラックボールなんてのは、一部のコアなユーザーに向けた特化品です。
多くの人はマウスを使います。
それでもトラックボールの新型を出してくれたLogicoolに敬意を表し、また「よく発売してくれた、ありがとう、これからも頑張って作ってくれ」というコンシューマとしての意思表示のために購入したと言う側面があります。
個人的に転職も控えていて、実はお金に余裕があるわけではありませんが、「良いものを作ってくれた会社には、しかるべきタイミングで金を払わないと、事業が縮小していく」という場面を多く見てきました。
Logicoolのトラックボールが衰退してしまうと困る人って、僕も含めてたくさん居ると思うのです。
だから、繰り返しになりますが「Logicoolさん、作ってくれてありがとう、これからもよろしく」という気持ちで買ったという面が半分あります。
その結果、接続は速くなるしクリックは静かだし、充電にストレスもないし、とても快適に使えています。個人的には最新マウスのMagSpeedホイールは苦手なので、ホイール周りの仕様が据え置きになっているのも嬉しいです。
1台目で使っていたグリーンのボールを移植して、2台目も大事に使います。
余談ですが、このように「初代のパーツを2台目に移して使う」という行為に、とてもエモさを感じます。おそらく昔「ビーダマン」の漫画で、「壊れた機体の一部分を新機体の一部分に取り付けることで新機体に魂が宿る」といった描写があり、つよく印象に残っているせいかもしれません。
今日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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