これまで僕は、デスクのセットアップにおいて長年問題を抱えていました。
それは、モニターアームを使っているにもかかわらず、モニターをデスクの奥、壁際にピッタリと配置できないという問題です。
原因は、僕が使っているLG製の40インチウルトラワイドモニター「40WP95C-W」にあります。このモニター、なかなかの重量級でして、一般的なモニターアームでは支えきれるか少し不安が残ります。そこで、これまで頼りにしていたのが、堅牢さで定評のあるエルゴトロン社の「HXモニターアーム」でした。
このエルゴトロンHX、耐荷重は申し分なく、重たいモニターをガッチリと支えてくれる頼もしい存在です。しかし、その構造上、アームが必ずモニターよりも手前に来てしまうという制約がありました。つまり、モニターを一番奥に押しやっても、アームの厚み分だけデスクのスペースが犠牲になっていたのです。
そんな折、デスク環境をホワイト基調で一新することにして、モニターアームも見直すことにしました。そこで出会ったのが、今回RASICALさんからご提供をいただきレビューする「RASICALモニターアーム」です。
この製品が、僕の長年の悩みを実にスマートに解決してくれました。
なぜエルゴトロンHXを使っていたのか

本題に入る前に、僕がなぜエルゴトロンHXという、ややオーバースペックともいえるモニターアームを選んでいたかについて少しお話しさせてください。
僕がいま愛用しているモニターは、LGの40インチウルトラワイドモニター「40WP95C-W」です。解像度は5K2Kで、作業領域が広く非常に快適なのですが、その分、重量も相当なものです。スタンドを除いた本体重量だけで10.2kgあります 。
モニターアームの世界で定番中の定番といえば、同じくエルゴトロンの「LXモニターアーム」ですが、こちらの耐荷重は最大11.3kg。スペック上はギリギリ支えられますが、モニターライトなど追加の機材を載せることを考えると、余裕があるとは言えません。アームの性能を最大限に引き出すには、耐荷重の中間あたりで使うのが理想的です。
そこで、耐荷重が9.1kgから19.1kgという、よりパワフルなHXを選んでいたというわけです。おかげで安定感は抜群でしたが、可動域の狭さというトレードオフを受け入れざるを得ませんでした。
RASICALモニターアームが持つ数々の美点
今回、デスクをホワイトで統一するというコンセプトのもと、RASICALのデスクと合わせてモニターアームもホワイトモデルを選びました。
広い可動域

RASICALのモニターアームがエルゴトロンHXと根本的に違うのは、その構造です。デスクに一本のポールを立て、そこからアームを伸ばす「ポール式」を採用しています。
この構造の何が素晴らしいかというと、アームの可動域が非常に広いことです。ポールを中心にアームが360度自由に回転し、さらにアームには肘のような関節があります。これにより、モニターの位置を実に細かく、そして直感的に調整できます。
エルゴトロンHXでは、アームの可動域は「クランプされたベース部分よりも手前」の範囲に限られていたのですが、RASICALモニターアームであればさらに自由にセッティングができるので、モニターをデスクの奥、つまりアームの根元があるポールよりも後ろ側に配置することもできます。
モニターを高くできるという正義

もう一つの利点は、ポールの高さです。RASICALのモニターアームはポールが十分に高いため、モニターをかなり高い位置まで持ち上げることができます。
これは、目線の高さを適切に保ち、正しい姿勢で作業するために非常に重要です。また、デスクシェルフとも干渉しにくいというメリットもあります。
将来的には、この高いポールを利用してアームを追加し、デュアルモニター環境を構築することも視野に入ります。この拡張性の高さは、ポール式ならではの大きな魅力と言えるでしょう。
感動レベルの取り付けやすさ

モニターアームの設置と聞くと、重たいモニターを片手で支えながら、もう片方の手でプルプル震えながらネジを締める…そんな地獄のような作業を思い浮かべる人もいるかもしれません。僕も過去にそういった経験があります。
しかし、RASICALのモニターアームの取り付け方法は、非常によく考えられています。
- まず、VESA規格に対応したプレートを、先にモニターの背面に取り付けます。
- 次に、そのモニターを持ち上げて、アームの先端にある受け部分に上からスライドさせるように引っ掛けます。
- あとは、脱落防止用のネジを2箇所締めるだけです。
この方式のおかげで、モニターを長時間腕で保持する必要が一切ありません。重たいウルトラワイドモニターでも、一人で安全かつ簡単に取り付けることができました。このユーザー体験の良さは、特筆すべきポイントです。
充実の付属品と驚きのコストパフォーマンス

RASICALのモニターアームは、付属品が非常に充実しています。
- 組み立てに必要な六角レンチなどの工具一式
- ケーブルをきれいにまとめるためのケーブルカバー
- 調整用の工具をポールに収納しておくためのアタッチメント
- デスクの天板を傷から守るための保護プレート
特に、天板を保護するための金属プレートが標準で付属しているのは嬉しいポイントです。
クランプ式のアームは、締め付けの圧力でデスクの天板を傷つけたり、凹ませてしまったりすることがありますが、このプレートを挟むことで安心して固定できます。こうしたプレートは単体で購入すると2,000円程度することもあるので、地味にありがたいです。
そして何より、これだけのクオリティと付属品を備えながら、価格が定価で21,800円(現時点では20%オフの17,440円)というのは驚きです。いま5万円近くするエルゴトロンHXと比較すると、そのコストパフォーマンスの高さは際立っています。
揺れも気にならない
以前、3,000円程度の安価なモニターアームを使ってみたことがあるのですが、タイピングのたびに画面が揺れてしまい、まったく使い物にならなかった経験があります。
その点、RASICALのアームはタイピング中でもびくともせず、非常に安定しています。
RASICALモニターアームの耐荷重は最大27kg、対応インチは最大57インチと公表されており、そのスペックは伊達ではありません。
たった一つ、気になった点

一つだけ気になる点がありました。それは、グロメットマウントで設置する場合の仕様です。
公平を期すために先に述べておきますが、これは製品の弱点というより、グロメットマウント方式自体の弱点でもあります。
グロメットマウントとは、デスク天板の穴にボルトを通してアームを固定する方法です。RASICALのデスクには、このグロメット用に最適な穴が最初から用意されています。

問題は、その固定用のボルトの場所です。
このボルト、ポールの真下に配置されているのです。つまり、一度モニターを取り付けてしまうと、ボルトにアクセスできなくなります。
ネジというものは、使っているうちにわずかに緩んでくる可能性があります。
これはどんなネジでもそうです。この製品に限りません。
そこで、もし増し締めをしたいと思った場合、モニターを一度取り外してから、ポールを締め直し、再びモニターを設置するという手間が発生します。
これが、クランプ式のようにデスクの下から手でノブを回して気軽に増し締めできるタイプと比べると、少しだけ不便に感じました。
また、最初の組み立て時に、このグロメットの締め付けが甘いと、アーム全体の安定性が大きく損なわれます。僕も一度、締め付けが足りずにグラグラしてしまい、組み立て直しました。
幸い、先述の通りモニターの着脱は非常に簡単なので、やり直し作業自体は苦ではありませんでした。ただ、このグロメットマウントの構造上、定期的な増し締めが心理的にしにくい、という点は正直に伝えておきたいと思います。
まとめ

RASICALのモニターアームは、グロメットマウントの仕様に少しだけ注意が必要なものの、それを補って余りあるほどのメリットを持つ、非常に優れた製品です。
- ポール式による圧倒的に広い可動域
- モニターをデスクの奥に配置できる自由度の高さ
- 重たいモニターもしっかり支える安定性
- 感動するほど簡単なモニターの着脱
- 充実した付属品と高いコストパフォーマンス
特に、僕のように「モニターが重いから」という理由で、可動域の狭いアームを仕方なく使っていた人にとっては、まさに救世主のような存在となり得ます。
可動域の広さと安定性という、本来トレードオフの関係にある要素を、高いレベルで両立している点は見事です。
今後は、このモニターアームに取り付けられるラップトップホルダーのような追加モジュールも発売されているようで、拡張性にも期待が持てます。個人的には、シングルアームを購入した人が後からデュアルアームにアップグレードできるような、追加アーム単体の販売もぜひお願いしたいところです。RASICALさん、ご検討よろしくお願いします。
デスクの作業スペースを少しでも広く確保したい、そして安定したモニター環境をリーズナブルに手に入れたい。そんなふうに考えているすべての人に、自信を持っておすすめできるモニターアームです。
今日は以上です。 最後までお読みいただきありがとうございました。
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